【校長ブログ】第3回 「戦術」だけではなく「戦略」が必要(その1)
※この記事は2020年4月7日、noteにて掲載したものを再編集しています。
目次
大学受験予備校の存在理由
前回、大学選びを「主体的に」行うことの大切さを強調いたしました。大学を選ぶ際に「内的な動機」がなければ、勉強を続けていくことが難しいからです。
さて、志望大学が決まって、そこから皆さんはどう学習を進めていきますか?
皆さんの中には「予備校に通う」という学習方法を選択する方もいらっしゃるでしょう。
予備校の授業にはほとんどの場合、「〇〇大学対策」「〇〇学部対策」という志望校の”冠(かんむり)”がついています。
私も長年予備校講師としてこうした「冠講座」を担当し、多くの受験生を指導してきました。
冠講座に限りませんが、一般的な予備校というのは志望校に合格するためのノウハウを提供する場所であり、このノウハウ(戦術=合格点を取るための実践的な方法)が予備校の最大の存在理由となっています。
「戦術」だけでは足りない
予備校で教えている「戦術」とは、例を挙げると「この問題であればどう解くのが効率的か」を予備校講師たちが受験生に伝授する、といったことです。これはリアルな教室での授業であれ、映像授業であれ、変わりません。
ところが、受験生がどれだけたくさんの授業を受講したとしても、学力は直線的には伸びてくれません。
学力というのは沈潜した長い学習期間の末、ある日突然伸びていく、指数関数的・非線形的な性格を持っているからです。
学校の宿題であれば「プリント1枚で30分かかるから、2枚だと1時間だよね」というような見通しも立ちます。宿題なら、これで問題はありません。
多くの生徒は、宿題を片付ける際の「成果=かかった時間」的アプローチを、中間テストや期末テストのような定期試験にも取り入れます。
「今度のテストは〇〇点取りたいから〇〇時間勉強する」、「定期テストまであと1週間だからそろそろ勉強をはじめようか」という「戦術」です。
必要な「戦略」とは
多くの受験生が「勉強しているのに思うように成績が伸びない」と悩み、「何か別の、もっと(効率的な)良い方法があるのではないか」と迷うのは、この戦術しか知らないからかもしれません。
学力は指数関数的に伸びることを知らないのです。
AOアカデミーの「戦略的大学受験指導」というのは、従来型の戦術だけに頼るのではなく、「根本から考える」ことのできる、学ぶための「地力・自力」をつける指導に重点を置いています。
次回はこの戦略について、詳しく説明いたします。
この記事を書いた人:武田 菜穂子(あおい予備校校長)
早稲田大学大学院(政治学研究科)博士課程修了。上智大学大学院(現 グローバル・スタディーズ 国際関係論専攻)修了。上智では日本人初の国連難民高等弁務官 緒方貞子氏に師事。県立高校教諭、大手証券会社を経て有名塾・有名予備校講師を歴任。
予備校講師歴35年以上。日経新聞など各メディアへの出演も多数。これまでに指導してきた生徒はのべ20,000名以上※。生徒一人ひとりの個性を生かした進路指導に定評がある。
※一般・総合型選抜(旧AO)、各種推薦など